新米は水を少なめにする?元プロが教える水加減・浸水・ほぐしの3つのコツ

土鍋の蓋を開けた瞬間の、湯気が立つ炊きたての新米 今日の献立レシピ

新米だからという理由だけで、一律に水を少なめにする必要はありません。まずは炊飯器の目盛りどおりで炊いて大丈夫です。 いまのお米は年間を通して水分が管理されていて、農林水産省も「水加減に配慮することも少なくなっている」としています。炊き上がりを変えたいときは、水加減だけでなく、浸水(鍋で炊く場合は特に)や炊き上がり後のほぐしも見直してみましょう。

こんにちは、元プロ料理人のくりさんです。

スーパーに「新米」の文字が並ぶ季節になりました。せっかく新米を買ったのに、炊いてみたら「思ったほど感動しなかった」——そんな経験はありませんか。

じつは厨房にも、お米はいつもありました。和食の店でなくても、です。リゾットに使ったり、何より賄いがある。だから料理人にとって米は、ジャンルに関係なく毎日触れる食材でした。

そして扱いには気を使いました。虫が湧くと困るので、密閉して冷蔵庫で保管する。これは後半でもう一度触れますが、実はこのやり方、国のすすめる保存方法とも重なっていました。

今日は、その現場で身についた「炊き方の3つのポイント」をお渡しします。難しい道具はいりません。

そもそも「新米」って、いつまでのお米?

なんとなく「秋のお米」という印象ですが、表示のルールはきちんと決まっています。

食品表示基準では、「新米」と表示できるのは、原料となる玄米がとれたその年の12月31日までに精米され、袋に詰められたものだけ(玄米の場合も、同じく12月31日までに包装されたもの)。つまり年が明けて2月に精米されたお米は、同じ年に収穫されていても「新米」とは表示できません。

だから「新米」という表示から分かるのは、その年に収穫され、決められた期限(12月31日)までに精米・包装されたお米だということです。年内に精米・包装されていれば年明けに売られることもあるので、「精米して間もない」という意味ではありません(出典:農林水産省「新米の表示の定義を教えてください。」)。

ポイント① 水加減|「新米は少なめ」は、もう気にしなくていい

さて、いちばん多い疑問がこれです。「新米は水を少なめにするんですよね?」

結論から言うと、いまはそこまで気にしなくて大丈夫です。

この通説には理由がありました。以前は、収穫直後の新米は組織がやわらかいため、水を少なめにする炊き方が一般的だったんです。

でも、いまは事情が違います。農林水産省「米の調理特性」にはこう書かれています——お米の保存技術が進歩し、水分が年間約15〜16%に管理されるようになったことで、水加減に配慮することも少なくなっている、と。乾燥も保管も管理されるようになった結果、新米と古米で水分がそれほど変わらなくなった、ということですね。

ですから、まずはいつもどおりの水加減で炊いてみてください。 そのうえで「少しやわらかいな」と感じたら次から控えめにする。その順番で十分です。

ちなみに、ごはんの硬さの目安として、農林水産省は炊き上がりが米の重さの2.2倍前後になったものが日本人に好まれる、としています。これは炊き上がったごはんの重さの目安で、「水を米の2.2倍入れる」という意味ではありません。

🐻現場のコツ:厨房では「手首の骨」を目安にすることもありました

私が厨房で、毎日同じ釜・同じ条件で炊いていたときに使っていた経験則です。水を入れた釜に、清潔な手で手のひらを置いて、手首の出っ張っている骨のあたりを目安に水の量を調整する。慣れると計量カップより速いんです。

炊飯器の内釜で米の上に手のひらを置き、水面が手首の骨のあたりまで来ている様子
※家庭では炊飯器の目盛りが基本。写真は筆者が厨房で使っていた目安です

※家庭では、まず炊飯器付属の計量カップと内釜の目盛りを基準にしてください。 手首の位置は釜や手の大きさで変わるので、正確な計量方法ではありません。目盛りどおりに炊けるようになってから、「自分の手ではこのあたり」という目安を持っておくと、旅先や人の家でも困りません。

ポイント② 浸水|芯が残るなら、まず確認したい

お米は、加熱前に十分に水を吸っていないと、表面だけ先に糊化して中心に芯が残ることがあります。農林水産省の資料では、事前に浸水する場合は最低30分、できれば60分がひとつの目安とされています。

ただし、最近の電気炊飯器は、炊飯の工程の中に吸水の時間が組み込まれている機種が多く、事前の浸水がいらない場合があります。 まずは炊飯器の説明書を確認してください。同じ資料にも「近年の電気炊飯器は予備浸水なしで炊飯が可能です」と書かれています。土鍋や鍋で炊く場合は、事前の浸水がより大事です。

もうひとつ大事なのが水温です。同じ資料に「水温30℃は5℃より吸水率が高く、短時間で飽和吸水に達する」とあります。つまり水が冷たいほど、吸水には時間がかかる。

これ、鍋で炊くなら秋冬にこそ効いてきます。夏と同じ感覚で浸けて炊くと、水が冷たい季節は吸水が足りないことがある。寒くなったら浸水は少し長めに——鍋炊きなら、これだけで炊き上がりが変わります。

逆に、夏のように水温が高い時期に長時間浸けておくのは避けてください。同じ資料に、高い水温で長時間浸漬すると、食味が落ちるだけでなく腐敗にも注意が必要とあります。

ポイント③ ほぐし|炊き上がりの10秒で、味が変わる

炊けたら、蒸らしが終わった時点ですぐにほぐします。放っておくと余分な水分が下にたまって、底がべちゃっとしてしまうからです。

🐻現場のコツ:厨房では「ど真ん中の上」がいちばんうまいと感じていました

私たちの厨房では、ど真ん中の上の部分がいちばん美味しいとよく感じていました。だからこそ、その部分だけを誰かが食べるのではなく、場所による炊き上がりの違いをならすように、満遍なく、かつ潰さないように混ぜる。

しゃもじで十字に切ってから、底から返すように。米粒をつぶさないのがコツです。難しければ、耐熱ボウルに移してから混ぜるのもありです。そのほうが手を動かしやすく、余分な水分も飛びます。ただし、ほぐすための一時的な作業です。食べない分は室温に長く置かず、小分けにして早めに冷蔵庫や冷凍庫へ入れてください(出典:農林水産省「セレウス菌」)。

炊きたてのごはんをしゃもじで底から返すようにほぐしている様子

よくある失敗2つと、その原因

症状考えられる原因直し方
べちゃつく水が多い/炊き上がり後にほぐしていない炊けたらすぐほぐす。それでもやわらかければ、次回から水を少し控えめに
芯が残る浸水不足など鍋炊きなら浸水時間を長めに。電気炊飯器は説明書の炊き方も確認

水加減から疑いたくなりますが、浸水とほぐしも一緒に見直すと、原因が見つけやすくなります。

精米を買ったあとの保存|密閉して冷蔵庫へ

冒頭で「厨房では密閉して冷蔵庫に入れていた」と書きました。これ、国のすすめる保存方法とも重なっています。

農林水産省は、精米した白米は低温(10〜15℃)で湿気が少なく、直射日光を避けた場所での保存をすすめていて、冷蔵庫(とくに野菜室)が理想的としています。高温多湿を避けることが、虫やカビのリスクを下げることにもつながります。

ポイントは袋のままではなく、密閉できる容器に移すこと。そして精米してから時間が経つほど味は落ちるので、1か月くらいを目安に使い切るのがおすすめです。せっかくの新米、買い込みすぎないほうが美味しく食べきれます。

まとめ

  • 新米だから水を少なめ——一律に減らさなくてOK。まずは炊飯器の目盛りどおりで炊いてみる
  • 芯が残るなら浸水を確認。鍋炊きなら最低30分・できれば60分、寒い季節は長めに。電気炊飯器は説明書を確認
  • 炊けたらすぐほぐす。潰さず満遍なく。食べない分は小分けして早めに冷蔵・冷凍
  • 保存は密閉して冷蔵庫(野菜室)・1か月を目安に

ごはんが美味しく炊けると、不思議とおかずは一品で足ります。「今日のおかず、何にしよう」で手が止まる日は、はらぺこAIに投げてしまってください。

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